伝統産業
京都における伝統産業の歴史をひもとくと,その始まりは西暦794年の平安遷都にまでさかのぼります。政治・儀式に必要な用具や王朝文化の具現化ともいうべき貴族階級の生活用具の生産こそが,伝統産業の技術的な嚆矢(こうし)であり,時を経て,京都ひいては日本独自の文化として萌芽し花を咲かせ,庶民の生活にも生かされていきました。
長らく「日本の都」として朝廷が置かれていただけでなく,茶道や華道などの家元や宗教の本山や総本宮等の重要拠点が多く点在する「文化の中心」としての京都。そして日本の伝統的な文化や生活様式とむすびついている伝統産業。市場があってこそ存在する伝統産業の技術的発展や高度な感性は,長らく「文化の中心」であった京都という市場ひいては「和の文化」と,相互に発展し現代に至ります。
そんな歴史を持つ京都の伝統産業は多種多様で枚挙にいとまがありません。そこで,当コンテンツでは,京都版伝統産業ダイジェストとしての「京都の伝統産業一覧」。日本の文化を伝える大切な書や絵画を保存する技術としての「京表具」。掛け軸や茶道具等の鑑賞のみならず日本ひいては東洋の美を語るうえで欠かせない「名物裂 ・更紗」の3つに分けてご紹介します。